2016年を振り返る音楽レビュー
- LOVE&VICE / Suchmos
- 砂の塔 / THE YELLOW MONKEY
- Prevail / vivid undress
- IKI / ヒトリエ
- 骨抜き E.P. / ポルカドットスティングレイ
- Blood on the EDGE / 岸田教団&The明星ロケッツ
- luminescence Q.E.D. / 分島花音
2016年を振り返る音楽レビュー アーティスト順
LOVE&VICE / Suchmos
こんなアシッドジャズのグルーヴもったバンドが日本にあるとは。
TV CMでふと気になり、引き込まれてちゃんと聴いてみたらガツンときた。
繰り返しの中に変化を入れて引き込む感じ、極上のグルーヴ、ノリを生み出すベース、ポップセンスあふれるボーカル、メロディライン。
和製ジャミロクワイと言えばぴったりなんだけど、それには収まらない耳馴染みの良さと強いキャラクターがある。
ライブ向きのバンドに違いないから一度は生で、会場で観てみたい。
砂の塔 / THE YELLOW MONKEY
再結成、ありがとう。好きになったのは解散直前。その頃からずーっと聴いていた。ROCK IN JAPAN FESTIVALで観ることができて、それが初めて生で観たイエローモンキーで、ようやく実感が湧いて、涙が止まらなくて。
曲調の変化が大きかったYOSHII LOVINSON、吉井和哉名義から、再結成でどうなるか少し心配だったけれど、不要な心配だった。サウンド、雰囲気、歌詞そのままに帰ってきた。
特にカップリング、再結成時に発表されたALRIGHT。
どんどん深みに落ちていく感じ、初期のグラムロック感、後期のハードロック感、Cメロの爽快感、妖しい歌詞、再結成なのに集大成的でこれからも楽しみになる1曲。
Prevail / vivid undress
2014年結成とは思えない、演奏、世界観が完成したバンド。最近のバンドはデビューの頃には完成したバンドばかりで恐ろしい。
ぱっとの印象はパスピエを彷彿とさせるキーボード有り、ポップな女性ボーカル、バンドサウンド。
ちゃんと聴くと、ずーっとスタイリッシュで割りと系統が違う。よりダンサンブルで、攻撃的というか、挑発的というか、でもやっぱりポップで女性ボーカルらしい柔らかさもある。これからどうなっていくのか楽しみ。
Zombie Magazine Records (2016-05-25)
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IKI / ヒトリエ
開かれたヒトリエ、そんな印象。
前作DEEPERは実験的な楽曲が多かったような印象だったけれど、原点に立ち返りつつも、途中の実験、ライブを全部回収したものを詰め込んで、帰ってきた、開かれたヒトリエに。
耳に残るリフ、高速ドラム、うねるベース、切なげな歌声。アルバムを構成する、聴かせる曲、駆け抜ける曲のバランスもいい。
リリースペース、ライブのペースが早い。うれしいようで、なんだか生き急いでいるような感じがなんとなく心配。
骨抜き E.P. / ポルカドットスティングレイ
テレキャスター・ストライプのMVで見惚れてしまった。椎名林檎以来の衝撃というとちょっと大げさかもしれないけど、このMVにはそれほどの衝撃があった。
Duesenberg Starplayer サーフグリーンを持つ女性ボーカル、耳の残るリフとメロディ、あざとい感じも関係なくグイグイくるこの感じ。よくある4つ打ちサビなのに、どこか懐かしくてどこか新鮮。ごちゃごちゃしてなくて、ひとつひとつがしっかり主張する。言葉のリズム、音程を優先したような、、耳にすーっと入ってくる言葉の配置、色っぽいブレス。歪みすぎない、少しジャズの香りもするギター。
GoogleのCMに出演など、今後の活動に目が離せない。
Blood on the EDGE / 岸田教団&The明星ロケッツ
カップリング曲も合わせて、今までとなんか違う。そう感じるんだけど、やっぱり岸田教団だなとも。
Hack&Slashの延長線のような、それ以上に踏み込んで鋭さと力強さを備えた楽曲。トーンは抑えめ、ギターも音色、歪みの倍音抑えめ。今まで目立っていた上モノを取っ払って、自分たちの持つロックンロールの本質のようなもので勝負してみたぜっていう挑戦のメッセージを受けた。モノクロのMVもそんな心情が表れているようで心に訴える何かがある。
次のステージに進むターニングポイントになるだろうと予想している。
luminescence Q.E.D. / 分島花音
全アルバム同様、様々なアレンジャーを迎えたアルバム。アレンジャーごと(=楽曲ごと)に色んな面が引き出されているのが聴き応えがあり、アルバムを構成する曲のバランスもいい。
個人的にはギターが目立つロック、テンポの早い楽曲が好き。いわゆる女性ボーカルロックにはなかなか無い独特の歌メロと歌いまわし、構成がポップにロックに歩み寄って纏まるときの独特のオリジナリティ。そしてどこか安心する歌声。
今後もまだまだ色んな面が見えそうで楽しみ。